新型コロナウイルスの影響で、多くの企業が在宅勤務やリモートワークを取り入れるようになりました。それに伴い、ビジネスチャットの利用率も上昇しています。
ビジネスチャットは、メッセージの送受信だけでなく、仕事の依頼やビデオ会議、ファイルの共有機能なども搭載しています。社内外とのコミュニケーションが円滑になり、業務の効率化を図ることが可能。
最近ではさまざまなビジネスチャットがリリースされていますが、特にシェアが高いのはSlack(スラック)とChatwork(チャットワーク)です。どちらを導入しようか悩んでいる読者も多いのでは?
そこで今回は、SlackとChatwork、それぞれの特徴やメリット・デメリットを紹介したいと思います。導入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
SlackとChatworkの概要
Slackとは?
Slackは、米国サンフランシスコのSlack Technologies, Incが提供するチャットツール。2013年のローンチ以降、急成長を遂げているツールです。
現在、150ヵ国以上のユーザーが使用し、デイリーアクティブユーザー数は1,200万人以上。海外に取引先や拠点がある企業は、海外の方々とスムーズにコミュニケーションがとれるというメリットがあります。
2017年に日本語版がローンチし、日本国内で人気が急増。エンジニアを中心にユーザー数が増え、現在では営業や会計士、個人事業主など幅広い業種で利用されています。
Chatworkとは?
Chatworkは、日本人起業家として知られる山本敏行氏・正喜氏兄弟によって開発されたクラウドサービス。
2011年3月にサービスを正式ローンチし、約1年半でユーザー数10万件を獲得。現在では28万社以上に導入されています。日本発の大型サービスとして国内外でユーザー数を拡大中です。
ITやテクノロジーに明るくない人でも使えるように設計されており、NPO団体や工務店、フリーランスの方々など、IT系以外の企業や団体にも利用されています。
Slackのメリット
会話の整理に優れたスレッド表示
Slackは、1つのpost(テキスト)に対してスレッドを立てられるpost機能を搭載しているのが特徴です。
ほかのビジネスチャットでは、チャット上にどんどん新しい会話や情報が流れてしまうため、一連の流れを把握しづらいというデメリットがあります。
一方、Slackはpost機能によって1つのpostを複数人で編集したり、postに対するコメントを1つの箇所に集約したりできるため、話題を整理できて会話の流れを把握しやすいのがメリット。
post機能を使って全員でプロジェクトを進行できるので、社内はもちろん、アルバイトや業務委託などのメンバーとも一体感をもってコミュニケーションを取ることが可能です。
ワークスペース複数作成可能
Slackでは、組織単位でワークスペースを1つ作成し、その中で部署やプロジェクトごとのチャンネルを作って会話をするのが一般的。もちろん、1つの組織で複数のワークスペースを作成することも可能です。
例えば、フリーランスの方が業務委託で複数の会社と仕事をする場合、契約している会社ごとのワークスペースに招待してもらえば、Slack上で業務連絡や情報をまとめて管理可能。
また、ワークスペースを追加して友達や家族を招待すれば、プライベート用のコミュニケーションツールとしても利用できますよ。
リマインダー機能
Slackを使えば、自分はもちろん、同じワークスペース内のメンバーに対して日時を指定してリマインダーを設定できます。
日時指定のほか、毎週月曜日、毎月水曜日などの繰り返し指定も可能。会議や締切日などにリマインダー機能を活用すると便利です。
例えば、毎週月曜日のミーティングをリマインドしたり、毎月20日に経費清算書の提出をリマインドしたりすることもできます。
連携できる外部サービスが豊富
Slackは、連携できるサービス・アプリが2,000を超えており、Google DriveやGmail、Zoom、Dropboxなどのツールを Slack と連携させることで業務の効率化を図れます。
たとえばGoogleカレンダーと連携してスケジュールを管理したり、ZoomやSkype、Googleハングアウトと連携してSlack上で通話したりできます。また、TwitterやInstagramなどのSNSとの連携も可能。各企業で使いやすい仕様にカスタマイズできるのもSlackの強みです。
Slackのデメリット
タスク管理機能がない
Slackには、Chatworkに搭載されているようなタスク管理機能はありません。
メッセージのリマインダー機能やブックマーク機能、ピン留め機能をタスク管理に応用できますが、Chatworkのタスク管理機能に比べると手間がかかってしまい不便です。
そのため、外部サービスでのタスク管理が必須。AsanaやTodoistなどのタスク管理ツールとSlackを連携させてタスクを管理したほうがよいでしょう。
Chatworkよりも割高
有料プランを利用する場合、Slackの方がChatworkよりもコストがかかってしまいます。年間契約で比較すると、Slackは1人あたり月額850円。一方、Chatworkは1人あたり月額500円。
Slackの料金はChatworkの約1.7倍となるため、費用を抑えたい方にはChatworkの方が断然お得です。
Chatworkのメリット
タスク管理機能
Chatworkは、自身のタスク管理や他メンバーのタスク状況をすぐに確認できるのが最大の特徴です。
チャット上のテキストをタスクに設定できるので、チャットの会話で自分や相手の仕事内容が記載されたらその部分をすぐにタスクに設定可能。タスクの設定も管理もスピーディーに行うことができ、常に組織全員で進捗状況を共有できます。
また、自分のタスクを一覧で表示でき、タスクの期限を設定することも可能です。別々のチャットグループでタスクを作成した場合、タスクのみを表示させる機能があるため、タスクがごちゃごちゃになって分かりづらくなる心配もありません。
社外の人を簡単にグループ追加可能
Chatworkでは、各個人のアカウントにChatworkIDを設定することができ、IDを教えてもらえば簡単に社外の人をグループへ招待・追加可能です。
また、名刺やメールの署名欄にChatworkIDを載せておけば、相手側から簡単に招待してもらうこともできます。
社外の人と頻繁に連絡を取ったり、資料送付したりできるので、営業活動の効率化にもつながります。
もちろん社外の人とやりとりできないように制限をかけることも可能です。
ファイルのアップロード容量の大きさ
Chatworkでは、Excel、Word、PowerPoint、画像などのファイルをドラッグ&ドロップするだけでチャット上にアップロードできます。
アップロードできるファイルの容量は、1ユーザーあたり10GB。無料版でも5GBまでファイルをアップロード可能です。Slackが1ファイルあたり1GBまでしかアップロードできないことを考えると、アップロードできる容量の大きさが分かります。
国内企業の導入実績が豊富
Chatworkは国産のサービスなので、日本語でのサポートが充実しています。ヘルプページや問い合わせの対応などもすべて日本語で確認できますよ。
また、国内企業の利用数が多いため、規模や業種が近い導入事例を参考にできる点も大きなメリットです。今後、国内での導入企業数がさらに増えれば、機能の改善・更新の要望も反映されやすくなるのではないでしょうか。
Chatworkのデメリット
会話の履歴の見づらさ
Chatwork にはSlackのようなスレッド機能がないため、常に新しい投稿がチャット上に流れてきてしまい、会話を見落としてしまう可能性があります。
また、過去のテキストを見返す際にも不便。名前やプロジェクト名、キーワードなどで過去のテキスト検索できますが、Slackより手間がかかって面倒です。
Slackに比べて外部サービス連携数が少ない
Slackの連携できるサービス数が2,000以上なのに対し、Chatworkは600以上。決してChatworkが少ない訳ではありませんが、Slackに比べると見劣りしてしまいます。
また、Chatworkで外部サービスを利用するには、IFTTT(イフト)への登録が必要。連携に工数がかかってしまう点もマイナスポイントです。
まとめ
Slackは業務委託などのメンバーが多いIT企業におすすめ
Slackは、1つの投稿をメンバー全員で編集して情報を一元化できるpost機能を備えているため、全員でプロジェクトを進行させることが可能。業務委託などのメンバーと頻繁にコミュニケーションを取る会社に適しています。
また、外部サービスとの連携数が多いことも魅力。外部サービスとの連携に詳しいITエンジニアがいる企業は、カスタマイズを行いながら業務を格段に効率化できるでしょう。
Chatworkはタスクが頻出する国内企業におすすめ
タスク管理機能があるChatworkは、タスクが頻出する企業にとって特に使いやすいサービスだと言えます。社外の人を簡単にグループ追加できるので、関係各社との連絡やタスク管理もスムーズに行えます。
また、費用面ではChatworkの方が安く、日本語のサポートも充実しているので、初めてビジネスチャットを導入する企業にもChatworkがおすすめです。