2020年現在、企業のリモートワークへの注目・導入はさらに高まってきています。
コロナウィルスによる自宅待機が促され、これまでとは違った働き方がさらに注目を浴びているのです。そして重要な社内データを一元管理し、いかに社員間・クライアントで円滑に情報の共有を行うのかが、リモートワークを取り入れる際の大きな課題となっています。
このような状況化においてオンラインストレージは、現在多くの企業にとって必須のツールです。適切なオンラインストレージを利用する事により、社員間でのクラウド上でのデータ共有や、クライアントとへの情報提供の円滑化を図る事が可能となるのです。
こちらの記事ではオンラインストレージ使用のメリットと、詳しい比較調査を行なった4つのオンラインストレージサービスをご紹介します。
オンラインストレージの4つのメリット
まずは企業における、オンラインストレージ導入のメリットについて解説します。
オンラインストレージの4つのメリットはこちらです。
- 社内データの一元管理が可能
- 独自サーバーの維持・管理の必要がなくなりコスト削減につながる
- データ編集を複数人でもリアルタイムに行う事が可能
- 情報漏洩・データの紛失が最小限におさえられる
社内データの一元管理が可能
オンラインストレージの利用を一つに限定することにより、社内データの一元管理が可能となります。
これまで部署間において独自にデータ管理を行なっていた場合でも、プロジェクト別・案件別に管理する事ができるようになり、データの共有・受け渡しも円滑に行えます。
独自サーバーの維持・管理の必要がなくなりコスト削減に
企業がオンラインストレージとの契約を行った場合、ある程度の月額・年額費用は必要となってきます。しかし多くのオンラインストレージは、比較的低価格で良質のクラウドサーバーを提供しています。
データ管理のための社内独自サーバーを設置していた場合、その管理にかかるコストは非常に膨大です。オンラインストレージを導入することにより、定期的なバックアップ・メンテナンス・サーバーのアップグレード作業を行う必要がなくなり、人件費およびサーバー維持費の削減を行う事ができます。
現在においてはサーバーを新規設置するよりも、オンラインストレージの導入を行った方がコストパフォーマンス面において優れているといっても良いでしょう。
データ編集をリアルタイムで行う事が可能
これまで部署間を跨ぐプロジェクトやクライアントとの共同のデータ編集では、作成完了した後にデータの受け渡しを行い、再度修正を行い差し戻すという手間が必要でした。
しかしオンラインストレージを利用することで、SlackなどのチャットツールやWEB会議中にリアルタイムでの編集・修正が可能です。修正を行いすぐに閲覧可能なため、ミスや認識の取り違いの軽減につながります。
情報漏洩・データの紛失が最小限におさえられる
セキュリティ面においても、オンラインストレージの導入には大きなメリットがあります。
機密情報の共有では、特に郵送・宅配では漏洩や紛失の恐れが常に付き纏います。EメールやUSBでのデータ受け渡しも、ウィルスやマルウェア混入などの問題があり絶対の安全性があるとは言えません。メール送付時の誤送信のリスクが発生する可能性もあります。そのような事例から、USBおよびメールでのデータ受け渡しを全面的に禁止する企業も徐々に増えているのが現状です。
多くのオンラインストレージでは、データの暗号化やアクセス制限等の対策を行い、非常に高水準なセキュリティのサーバーを提供しています。そのためEメールやUSB、また社内データサーバー間受け渡しよりも安全にデータの保管・共有を行う事が可能なのです。
オンラインストレージ|おすすめ5選の比較結果
今回は以下の4つのオンラインストレージを厳選し、詳しい比較調査を行いました。
- DirectCloud-BOX
- G Suite
- OneDrive
- Dropbox Business
詳細な項目と内容に関しては以下の表をご覧ください。
今回こちらでご紹介しているのは、各オンラインストレージの公式サイトで一番推奨されているプランとなります。またセキュリティ・機能に関しては、一部をピックアップしてご紹介しています。
ツール名 | 費用 | 容量 | セキュリティ | 機能 | 対応ファイル形式 |
---|---|---|---|---|---|
DirectCloud-BOX プラン:ビジネス | ユーザー数無制限 90,000円/月 (要一年契約) | 2TB | 保存・通信暗号化 ウィルス検知 脆弱性対策 不正アクセス監視 ユーザ2段階認証 デバイス認証 | リモート接続 リンクでのファイル受け渡し 誤送信防止 ゲスト招待 コメント機能 | 制限なし |
G Suite プラン:Business | 1,360円/ユーザー | 無制限 (5ユーザー未満の場合は、1TB/ユーザー) | Googleの厳しい基準に基づく管理 脆弱性対策 不正アクセス監視 | リモート接続 リンクでのファイル受け渡し ドライブ上での新規ファイル作成 コメント機能 文章スキャン機能 | 制限なし |
OneDrive プラン:for Business | 1,090円/ユーザー (年間契約) | 無制限 (5ユーザー未満の場合は、1TB/ユーザー) | 保存・通信暗号化 ファイルバックアップ 機密情報監査・保護 | 共同編集 コメント機能 ファイルアクセス制限 ページスキャン機能 | 制限なし |
Dropbox Business プラン:Standard | 1,500円/ユーザー (最小3ユーザー) (年間契約時) | 5TB | データ暗号化 ファイルとバージョンバックアップ リンクのパスワード保護 管理者用ダッシュボード 遠隔削除 | リモート接続 アカウント移行 ドライブ上での新規ファイル作成 コメント機能 | ほぼ全ての拡張子に対応 |
DirectCloud-BOX
DirectCloud-BOXの最大の特長は、月額あたりのユーザー数が無制限であるということです。
1,000人単位の社員を抱える企業であっても月額料金は変わらず一律です。その為、特に社員数が多い企業にとっては、非常にコストパフォーマンスに優れたオンラインストレージサービスとなります。
また使用ユーザーの意見を積極的に取り入れ、頻回にアップグレードを行なっていることも特長の一つです。セキュリティ対策にも定評があり、非常に高水準のセキュリティが施されています。
このような事からも、非常にユーザーに寄り添った運営を行なっているオンラインストレージ会社であると言えるでしょう。
料金プラン一覧
ベーシック | スタンダード | ビジネス | プレミアム | エンタープライズ | |
---|---|---|---|---|---|
月額費用 (1年契約が必要) | 10,000円/月 | 30,000円/月 | 90,000円/月 | 180,000円/月 | 300,000円/月 |
容量 | 100GB | 300GB | 2TB | 5TB | 20TB |
DirectCloud-BOXではベーシックプラン・スタンダードプランでは比較的安価で利用を開始する事が可能です。しかし使用できる機能にはかなり制限があり、ビジネスプラン以降でほぼ全ての機能が使用可能となります。
スタンダードプランでは、オプションにてビジネスプラン以降で追加される機能を追加する事ができます。しかし全てのオプションを追加すると、却ってビジネスプランよりも高額になってしまいますので注意が必要です。
メリット
特長でも述べたように月額あたりのユーザーが無制限であり、コストパフォーマンスに非常に優れている事がDirectCloud-BOXのメリットです。
管理画面も見やすく、直感的に使用する事ができるとの定評があります。
デメリット
社員数が多くなく、登録ユーザー数が少ない場合、月額費用が他社に比べて高額になってしまう事があります。
そして、アプリ版が使いにくいとの声も一部の口コミで見られます。またWEB上でのプレビュー可能なファイル形式が文書・画像ファイルに限られており、動画や音声に対応していないこともデメリットであると言えるでしょう。
おすすめできる企業のタイプ
社員数を100名以上抱える企業や、セキュリティを最重視する企業に特におすすめする事ができます。
また、オプションでの災害対策・遠隔地バックアップを行うことも可能な為、災害対策に特に力をいれている企業にもおすすめです。
G Suite
G SuiteはGoogleが提供する総合クラウドサービスであり、オンラインストレージのGoogle Driveを含んだサービスとなります。Googleは、オンラインストレージ単体として他にもGoogle Driveのビジネスプランや、Google Oneというサービスも提供しています。しかしこちらのサービスは容量や使用人数にいくつか制限があり、企業での数十人単位での利用はおすすめできません。
G SuiteにはGoogle Driveの他にも、Googleの提供するGmailやカレンダー、Meetなどのビジネス向けアプリケーションが含まれており、リモートワーク作業の効率化を手助けしてくれるツールとなっています。
また2020年現在、G SuiteのオンラインストレージGoogle Driveは、個人を含め非常に多くのユーザーに利用されています。そのため、他のオンラインストレージの利用に慣れていないクライアントとのファイルデータ共有も、G Suiteであれば円滑に行う事が可能なケースが想定されます。
セキュリティ面においては、Googleは非常に厳しいセキュリティ基準を設けており、G Suiteにももちろん適応されています。
料金プラン一覧
ベーシック | スタンダード | ビジネス | |
---|---|---|---|
月額費用 (1年契約が必要) | ¥680/月 | ¥1,360/月 | ¥3,000/月 |
容量 | 30GB | 無制限 (5ユーザー未満で 1 TB/ユーザー) | 無制限 (5ユーザー未満で 1 TB/ユーザー) |
スタンダード・ビジネスプランでは容量に違いはありませんが、ビジネスプランではよりきめ細やかなサポートが受けられます。
もし1〜5ユーザーの少人数での使用であれば、G SuiteのベーシックプランではなくGoogle Oneの容量追加(月額250円から)の方がよりお得にGoogle Driveの利用ができます。
しかし登録ユーザー数が6名以上の場合は、独自ドメインがGmailに設定も可能となるG Suiteのスタンダードプランがおすすめです。
参考:Google one(Google Drive)の料金プラン(共有上限5名まで)
容量 | 15GB | 100GB | 200GB | 2TB |
月額費用 | 無料 | 250円 | 380円 | 1300円 |
メリット
使用ユーザーが多く、外部とのやりとりにも問題ありません。G Suiteでは他のGoogleアプリケーションとの連携が容易であり、Googleアプリを使用した作業を効率よく進める事ができます。
また、5名以上の利用であれば容量が無制限となるため、大量のデータファイルのアップロードにも対応可能です。
デメリット
ユーザー単位での契約であるため社員数が多い場合、全てのユーザーを契約する事で費用が非常に高額となります。
また、ファイルがクラウド上でファイル形式別に自動整頓されるなどという機能がないため、やや管理画面が見にくいという欠点があります。
またG Suiteの大きなデメリットの一つとして、中国国内での利用ができないことです。中国政府は、中国国内からのすべてのGoogleアプリケーションのアクセスを禁止しています。そのため中国への出張時や中国国内支社では、G Suiteのオンラインストレージ利用ができませんので注意が必要です。
おすすめできる企業のタイプ
個人での副業やリモートワーク、100名以下の企業におすすめできるオンラインストレージサービスです。また、容量無制限のプランがあるため、大容量のデータを日常的に扱う企業にもおすすめできます。
OneDrive
OneDriveはMicrosoft社より提供されるオンラインストレージサービスです。個人での利用では5GBまで無料で使用が可能ですが、セキュリティや機能面に制限があります。
また、OneDriveはMicrosoftのオフィススイートMicrosoft 365の一部としても利用可能です。最新版のOfficeアプリを連携して使用したい場合はMicrosoft 365の利用を検討してください。
料金プラン一覧
OneDrive for Business (Plan 1) | OneDrive for Business (Plan 2) | Microsoft 365 Business Basic | Microsoft 365 Business Standard | |
---|---|---|---|---|
月額費用 /1ユーザー (1年契約) | 540円/月 | 1,090円/月 | 540円/月 | 1,360円/月 |
容量 | ユーザー 1 人あたり 1 TB | 無制限 (5ユーザー未満で 1 TB/ユーザー) | ユーザー 1 人あたり 1 TB | ユーザー 1 人あたり 1 TB |
OneDrive単独では企業向けのプランは2種類です。一番安価なPlan1ではバックアップの機能が含まれない為、より安全に利用できるのはPlan2となります。そしてOneDrive for Business (Plan 1)とMicrosoft 365 Business Basicは月額価格が同じであるのにもかかわらず、Microsoft 365 Business Basicの方が非常にハイスペックとなっています。そのため、OneDrive for Business (Plan 1)で契約するメリットは全くありません。
OneDrive for Business (Plan 2)も、5名以上のユーザー登録の場合に無制限ストレージが使用できるというメリットはあります。しかし、通常の業務であれば1人あたり1TBは必要十分な容量です。そのためMicrosoft 365 Business Basicの方が、よりコストパフォーマンスに優れていると言えるでしょう
補足:
Microsoft 365 Business BasicとBusiness StandardではOneDriveの内容には変わりがありませんが、使用可能なOfficeアプリに違いがあります。
・Business Basic:Web 版・モバイル版の Word、Excel、PowerPoint
・Business Standard:Outlook、Word、Excel、PowerPoint、OneNote、Access (Windows PC のみ) Publisher (Windows PC のみ)
メリット
一番安価なプランであっても、ユーザー1人あたり1TBという高容量が割り当てられます。そして、Microsoft提供のオンラインストレージサービスなので、その他のOffice系ソフトとの連携がスムーズです。
またG Suiteのデメリットであった中国国内での利用も、OneDriveであれば可能となっています。
デメリット
口コミで多く見られたデメリットが、同期と動作が遅い・強制的なログアウトが頻回に起こるという問題点です。また、バックグラウンド使用時でのメモリ消費量がかなり大きいとの不具合も報告されています。
おすすめできる企業のタイプ
G Suite同様に、個人での副業やリモートワーク、100名以下の企業におすすめできるオンラインストレージサービスです。特に中国との取引が多い・中国国内に支社がある場合はG SuiteではなくOneDriveをおすすめします。
またMicrosoft 365プランであれば、最新WEB版のOfficeソフトが使用可能です。そのため、Office系ソフトが通常標準装備されないMacをメインで使用する企業にも、特におすすめすることができます。
Dropbox Business
Dropbox Businessは、長年世界中の多くの企業で利用されているオンラインストレージサービスです。オンラインストレージの先駆けであり、長期運営のノウハウとセキュリティの高さには非常に定評があります。
文書ファイルだけではなく、動画ファイルや音声ファイルなどの共有も可能であり、非常に自由度の高いオンラインストレージであることが最大の特長です。
料金プラン一覧
Standard | Advanced | Enterprise | |
---|---|---|---|
月額費用 /1ユーザー (1年契約) | 1,500円/月 (最小3ユーザー) | 2,400円/月 (最小3ユーザー) | 問い合わせ |
容量 | 5TB | チームの必要に応じて容量を追加 | 問い合わせ |
Advancedプランでは、Standardプランの機能に加え容量が追加される他、さらに詳細な管理設定を行う事が可能となります。シングルサインオン(SSO)にもAdvancedプランから対応しています。
また、Dropbox Businessはユーザー数3名以上からの契約となりますので注意しましょう。
メリット
長年の実績があり、高い知名度のあるオンラインストレージサービスです。認知度が高く利用経験者も多い為、多くのクライアントとのデータ共有もスムーズに行う事が可能です。
デメリット
後発で提供開始したオンラインストレージサービスと比べ、今一つ機能面で突出した部分がないのがデメリットの一つです。現在では全体的なオンラインストレージの価格が下がってきていることもあり、容量対コストでは他社に比べて割高となっています。
またファイル更新の同期に一定のタイムラグがあり、リアルタイムでの同時修正が難しいとの口コミも多く見られます。
おすすめできる企業のタイプ
100名以下の企業におすすめできるオンラインストレージサービスです。
特にクライアントにDropboxユーザーが多い場合は、より円滑にデータの受け渡しが行えるでしょう。
おすすめのオンラインストレージ比較調査のまとめ
今回は企業におすすめなオンラインストレージ4選の比較調査についてご紹介しました。
前述したとおり、各オンラインストレージにはそれぞれのメリット・デメリットがあり一概にどのオンラインストレージが優れているとは言えません。なぜならば各企業の環境・状況により、どのようなタイプのオンラインストレージが適切かは異なるからです。
オンラインストレージを選ぶ際のポイントは以下の4つです。
・社員数
・必要容量
・連携させたいアプリケーション
・外出先・出張先からのアクセス
また、今回ご紹介した各オンラインストレージは、安全なデータの保管・送信に必要なセキュリティレベルを全て満たしたものとなります。そして、オプションやデフォルトでの災害時に対応したオンラインストレージも、現在は数が増えつつあります。
ぜひ、今回の記事を参考に使用目的に合ったオンラインストレージを選択してください。